「組織変更で数百人分の名刺を急いで作り直すことになった」
「3,000件の挨拶状を、宛名を入れて短期間で発送しなければならない」
このように、一枚ずつ内容が違う印刷物を大量に作るとき、多くの企業はデザインから印刷まで印刷会社にまとめて依頼します。手間はかかりませんが、見積書を見て「思ったより高い」と感じたことはないでしょうか。
印刷会社へのまとめての依頼には、印刷そのものの費用に加えて、宛名や名前を差し替えたデータを作る作業の費用が含まれている場合があります。この作業は見積書の中で見えにくく、件数や修正の回数によって費用が変わりやすい部分です。
そこで選択肢の一つになるのが、「印刷用PDFデータの作成だけ」を専門のサービスに頼み、印刷は自社のプリンターや今お付き合いのある印刷会社で行う方法です。作業を切り分けることで、印刷の手段を自由に選べるようになり、コストを抑えやすくなります。
ただし、どんな場合でもこの方法が得になるわけではありません。加工や発送まで一括で任せたい場合は、これまで通り印刷会社にまとめて頼むほうが合っていることもあります。
この記事では、印刷DXの現場に携わるJOIN-PIC開発監修チームが、「データ作成だけ」を外注するしくみと、向いているケース・向いていないケースを、図や表を使ってわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 印刷会社にまとめて依頼したときに見えにくいコストの内訳
- 「データ作成」と「印刷」を分けて依頼するメリットと、向かないケース
- 社内でのデータ作成でつまずきやすいポイント
- 印刷会社への一括依頼とPDFデータ生成代行の、費用や手間の違い
- 印刷用PDFを依頼・入稿するときにプロが確認するポイント

印刷までまとめて頼むと割高?「データ作成だけ」外注という選択肢
宛名入りのはがきや名刺など、一枚ずつ内容が違う印刷物(バリアブル印刷物)を印刷会社に依頼すると、「印刷」だけでなく「データ作成」もまとめて任せることになります。まずは、その費用の中身を見ていきましょう。
印刷会社に一括依頼したときに見えにくい費用
印刷会社の見積書は「一式」でまとめられていることが多く、どの作業にいくらかかっているのかがわかりにくいことがあります。一般的なバリアブル印刷の依頼には、次のような作業が含まれます。

このうち見落としやすいのが、データ作成と校正にかかる費用です。紙代や印刷代はイメージしやすい一方、データ作成は目に見えにくい作業のため、見積書のどこに含まれているのかわかりにくい傾向があります。
また、費用は見積書の金額だけではありません。社内でも次のような「時間のコスト」が発生します。
- 名簿データを印刷会社の指定形式に整える作業
- 校正紙の確認と、修正の指示のやり取り
- 修正後の再確認
自社プリンターや今の印刷会社を活かして印刷費を抑える方法
「データ作成」と「印刷」を分けて依頼すると、印刷の方法を自社の状況に合わせて選べるようになります。代表的な活用パターンは次の3つです。

※社内プリンターで印刷する場合は、用紙の厚み対応や「フチなし印刷」の可否を事前にお手持ちの機器仕様でご確認ください。
データ作成だけの外注が向かないケース
データ作成と印刷を分けることは、どんな場合でも得になるわけではありません。次のような場合は、これまで通り印刷会社にまとめて頼むほうが合っていることもあります。
| 向かないケース | 理由 |
|---|---|
| 封入・封かん・発送まで一括で任せたい | 加工や発送を別々に手配すると、社内の手間が増える |
| 仕上がりのトラブル対応を1社にまとめたい | 分けて依頼すると、不具合の原因がデータなのか印刷なのかを切り分ける必要がある |
| 件数がごく少ない | 案件ごとの初期費用がかかるため、1件あたりの費用が割高になりやすい |
| 社内に印刷手段がなく、取引先の印刷会社もない | PDFを受け取っても、印刷先を別に探す必要がある |
| デザインの元データがまったくない | 台紙データの準備や作成が別に必要になる |
たとえば、PDFデータ生成代行サービスの料金(初期費用5,500円、1,000件までは1件8.8円・いずれも税込)で100件を依頼した場合、試算は次の通りです。
5,500円+(100件×8.8円)=6,380円 → 1件あたり約64円
※可変項目が5か所までで、完全データ(Illustrator形式)を入稿した場合の試算です。項目の追加や面付け、台紙データの作成を依頼する場合は、別途費用がかかります。
件数が少ない場合は、この金額を印刷会社の見積もりや社内で作る手間と比べて判断するのがおすすめです。
では、印刷代行を使わずに社内でデータを作ろうとすると、どこでつまずきやすいのでしょうか。次の章で詳しく見ていきます。
「社内でのデータ作成」でつまずく理由
「印刷会社に頼むと高いなら、データは社内で作ればいい」と考える方も多いと思います。可変項目数、レイアウト、校正体制によっては数十件でも外注が適しますが、件数や差し替える項目が増えると、つまずくポイントが一気に増えます。ここでは、現場でよく起きる課題を見ていきます。
ExcelとIllustratorの手作業で起きるミスと、検品の負担

社内でバリアブル印刷用のデータを作る場合、Excelの名簿を見ながらIllustratorなどへ文字をコピー&ペーストして対応するケースもあります。この作業には、次のようなミスが起きやすくなります。
よくあるミス
- 前の人の情報が残る
- 1行ずれる
- 文字が枠からはみ出す
- 件数が合わない
また、ミスはデザインデータに入る前のExcelの段階でも起きます。

さらに負担が大きいのが検品(仕上がりの確認)です。数千件を1件ずつ目で確認するのは現実的ではありません。
手作業で作ったデータは、どこでミスが起きたか予測しにくいため、確認の負担がどうしても大きくなります。
連番・QRコード・画像差し替えなど、可変項目が増えたときの専用ソフトの壁

名前や住所だけでなく、次のような項目を1件ずつ変えたい場面も増えています。
| 可変項目 | 使われる例 | 社内作業でつまずくポイント |
|---|---|---|
| 連番 | チケット、抽選券、会員カード | 桁数のそろえ忘れ、番号の重複や欠け |
| QRコード・バーコード | DM、チラシ、プライスカード | 1件ずつ作る手間がかかり、サイズや余白が足りないと読み取れない |
| 顔写真・画像 | 名刺 | Excelの情報と画像の対応ミス、画質の荒れ |
こうした複雑な可変処理は、Wordの差し込み印刷や手作業だけでは対応しにくくなります。件数や可変内容によっては、バリアブル印刷に対応した専用ソフトを使ったほうが効率的です。ただし、ソフトの購入費や商用利用できるフォントの費用、操作を覚える時間がかかるため、年に数回しか使わない場合は負担に見合わないこともあります。
定期的に作る場合は、PICバリアブルのようなクラウド型ソフトを31日間の無料トライアルで試し、社内で作る方法も比較してみるとよいでしょう。
では、データ作成をプロに任せると、なぜ印刷コストを抑えやすくなるのでしょうか。次の章で、PDFデータ生成代行のしくみを解説します。
「印刷用PDFデータ生成代行」で印刷コストを見直しやすくする仕組み
データ作成をプロに任せると、社内の手作業を減らせるだけでなく、印刷方法を自由に選べるようになります。ここでは、PDFデータ生成代行のしくみと料金の考え方を解説します。
自社印刷・小ロットと相性が良い「PDFデータ納品」とは
PDFデータ生成代行サービスは、デザインの元データ(台紙データ)と名簿などのExcelデータを受け取り、1件ずつ内容を差し替えた印刷用PDFを作って納品するサービスです。印刷や発送は含まれないため、受け取ったPDFを使って自社や取引先で印刷します。

PDFで受け取れるため、第1章で紹介したように、社内のプリンターで必要な分だけ印刷したり、今お付き合いのある印刷会社に印刷だけを頼んだりできます。
※社内プリンターで印刷する場合は、用紙の厚み対応や「フチなし印刷」の可否を事前にお手持ちの機器仕様でご確認ください。
件数に応じて1件あたりの単価が変わる料金体系
PDFデータ生成代行サービスの料金は、案件ごとの初期費用と、件数に応じたデータ生成費用の組み合わせです。
| 費用の種類 | 料金(税込) |
|---|---|
| 初期費用(可変設定・5か所まで) | 5,500円 |
| 可変設定の追加 | 1か所 1,500円 |
| 面付け作成 | 5,500円 |
| 台紙データ作成 | 3,300円〜 |
| データ生成件数 | 1件あたりの単価(税込) |
|---|---|
| 1,000件まで | 8.8円 |
| 2,000件まで | 7.7円 |
| 3,000件まで | 6.6円 |
| 5,000件まで | 5.5円 |
| 10,000件まで | 4.4円 |
| 100,000件まで | 別途見積もり |
たとえば、完全データ(Illustrator形式)を入稿し、可変項目が5か所以内で1,000件を依頼した場合は、次のようになります。
5,500円+(1,000件×8.8円)=14,300円 → 1件あたり14.3円
※面付けや可変設定の追加を依頼する場合は、別途費用がかかります。1,000件を超える場合の正確な金額は、見積もりで確認してください。
このように、費用の内訳が「初期費用」と「件数×単価」に分かれているため、印刷会社の見積もりや社内で作る場合の手間と比べやすいのが特長です。なお、この料金はデータ作成の費用のため、印刷費は別に必要です。比べるときは「データ作成費+印刷費」の合計で考えましょう。
個人情報を扱うデータ作成を、ミスなく安全に依頼するには
宛名入りのDMや名刺のデータ作成では、氏名・住所・電話番号などの個人情報を外部に渡すことになります。ここでは、依頼先を選ぶときに確認したいセキュリティのポイントと、依頼の流れを紹介します。
Pマーク・ISMS取得環境でのデータ管理
個人情報の取り扱いを外部に任せる場合、依頼する側にも注意が必要です。個人情報保護法では、個人データの取り扱いを委託するとき、委託先を必要かつ適切に監督することが求められています。依頼先を選ぶ段階で、管理体制を確認しておくことが大切です。
その判断材料になるのが、第三者機関による認証です。
PICバリアブルを運営する株式会社オンデオマは、プライバシーマークとISMS(ISO/IEC 27001)を取得しています。宛名データなどの個人情報を扱う立場として、これらの基準に基づいたデータ管理体制をとっています。

台紙データ・可変データ・画像の3つを用意して依頼する流れ
PDFデータ生成代行サービスに依頼するときに用意するものは、次の3つです。
用意するもの
- 台紙データ:ベースになるデザイン。
- 可変データ:可変項目ごとにセルを分けたExcel(.xlsx)データ。バーコード・QRコードの内容も含める。
- 可変画像データ:顔写真などを差し替える場合に用意。
依頼の流れ
まずはお気軽にご相談ください
Excelリストとデザインデータをお送りいただくだけで、御社専用の印刷用PDFを作成します。
PDFデータ生成代行サービスに関するよくある質問
- Illustratorを持っていなくても依頼できますか?
-
はい。台紙データはWord・PowerPoint・PDFでも受け付けています。ただし、Illustrator形式の完全データ以外の場合は、台紙データ作成費(3,300円〜・税込)がかかります。
- 納品されたPDFは、そのまま印刷会社に入稿できますか?
-
PDFは単面データで納品されます。印刷会社で面付けが必要な場合は、面付け作成(5,500円・税込)もご依頼いただけます。入稿条件は事前に印刷先へご確認ください。
- 指定したフォントは使えますか?
-
可変部分はモリサワサーバーライセンスのフォント(UD新ゴ、リュウミン、ヒラギノなど)を使用します。対応していない書体は、似た書体に変更します。
まとめ
一枚ずつ内容が異なる印刷物は、印刷会社にまとめて頼むだけが方法ではありません。「データ作成」と「印刷」を分けて考えることで、自社に合った依頼の仕方を選べます。

社内のプリンターや今の印刷会社を活かしたい場合や、年に数回だけ大量のデータを作る場合は、データ作成だけをプロに任せることで、費用の内訳を明確にしながら社内の手間を減らせます。空いた時間は、DMの内容やデザインなど販促の工夫に使えます。データ作成~加工・発送までまとめて任せたい場合は、印刷会社への一括依頼が適しています。
「自社にはどの方法が合うか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
まずはお気軽にご相談ください
Excelリストとデザインデータをお送りいただくだけで、御社専用の印刷用PDFを作成します。
